ペルー・ブラジルなど中南米のツアー旅行はアースデザインKIRツアーへ

ハバナの旧市街には作家アーネスト・ヘミングウェイが足しげく通ったというシーフードレストラン「ラ・フロリディータ」がある。店に入るとカウンターバーがあり、その左手奥にある当時のヘミングウェイの指定席には今は彼の銅像が座り、少し楽しげな表情で客を眺めている。彼はその人生のおよそ3分の１にあたる22年間をキューバで過ごした。親米政権が革命に倒れた後、最初にキューバの飛行場に降り立った時、彼はキューバの国旗にキスをして「俺はヤンキーじゃない」と言ったという。

キューバに年老いた漁師がいた。不漁続きで、周囲からはもう終わってしまった漁師と陰口をたたかれていた。そんな周囲から見放された老人がひとりメキシコ湾へ漁に出たところ、巨大なカジキマグロが網に掛かる。老人は３日に渡る孤独な格闘の末カジキマグロを仕留める。しかし、その帰路、カジキマグロを狙うサメの群れに襲われる。老人は銛を片手にカジキマグロを狙うサメとの壮絶な殺し合いを行い、何匹かのサメを始末するが、結局サメによってカジキマグロは貪られ尽くし、彼が港へ帰ってくるころには頭と尻尾を残して骨だけになってしまった。老人の努力は全て無駄骨に終わってしまったのだ。彼と仲の良い少年は老人の努力を労うが、老人は疲れ果てて眠ってしまい、昔アフリカでみたライオンの夢を見始めた。
キューバを舞台とし、ノーベル文学賞を受賞したこの「老人と海」という作品の主人公の老人は、ヘミングウェイ自身の晩年と重なる。2015年7月20日、キューバと米国が54年ぶりに国交を回復させた。彼は天国で今何を想うのだろうか。